Web屋必読!『良いウェブサービスを支える利用規約の作り方』を読んでみた。レビュー

kiyaku

Webサービスを運営するにあたり、必ず必要とされるのが利用規約ですね。あの長ったらしい読み物を作るのは骨が折れますし、「こんな形式的な長文なんて、利用者は読まないよw」とスルーされがち、ただでさえ運営に時間が取られるわけですから、規約自体をコピペするところも多いですよね。(‘A’)

そんな利用規約について、『良いウェブサービスを支える利用規約の作り方』(技術評論社)という書籍が販売されていたので買ってみました。内容としては、法律に疎いWeb屋向けの視線で書かれてて、難しい表現はほぼ解説付きです。また、最近になって発生した話題の事件(ファーストサーバー事件やmixi規約炎上事件など)などにも触れており、共感しながら読むことができる感じでしたw。オススメです!。

とりあえずWeb屋は読んでおきましょうか。

まず、この書籍を買った理由ですけども、帯にも書かれていた

「どうせ、読まれないし」
「まるごとパクればいいじゃないの」
「免責しとけばなんとかなるよ」

的に考えている人(サービス運営者、ECサイト店長)って多いと思うんですよね。知人が運営するサービスの利用規約が1文しか掲載されていない時を見かけると、程よく心配になります。

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実際に、私が運営しているPAKUTASOも完璧ではありません。(おい

個別対応を主としている箇所など明確化できていない部分は多く、利用者に不安を与えてしまっているのではないかと危惧する毎日です。現在は、社労士で法務関係に明るいフバタロウさんにアドバイザーをお願いし、リニューアル(改訂)の準備を行っております。例え注目されるサービスを作っても、きちんとした整備を行き届かせていなければ、いつの間にか思いもよらないトラブルに巻き込まれてしまうことは当然あります。そういった点を軽視せず、サービスの管理者としてもう一度法規を見返そうと感じたのが理由ですね。

「もっと事例や使い方を書いてほしい」「こういった利用方法は禁止ですか?」などの問い合わせは非常に多いです。そのあたり双方が信頼できる環境を実現するのも利用規約なのだと感じております('A')

以下は書籍の個人的な感想とレビューです。

知っていそうで知らない

プライバシーポリシー、特定商取引法、クーリングオフ制度、など普段耳にする言葉で特に重要な部分と勘違いしやすい部分にスポットを当てています。例えば、通信販売にはクーリングオフはなく、通信欄に返品できないという特約が記載されていた場合、お客様都合で受付する事ができないなど、知っていそうで知らない知識を分かりやすく解説されています。

利用規約の同意ボタン

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"ダウンロードする場合は、規約に同意する必要があります。"

こういった文言を見た事がある人も多いと思います。チェックしてからわざわざ読む人も少ないとは思いますが、このボタンの配置やリンクの貼り方、表示方法によっては規約が無効になるケースもあります。デザイナーにとっては簡単に考えていた部分でありUIを気にしすぎて簡素化してしまう部分ですからね。すごく参考になりました。

著作者人格権の行使

YAHOOの規約やmixi問題などで一気に話題となりましたよね。会社側に有利な 著作者人格権を行使しない 理由から発生したトラブルの事例と、著作財産権の譲渡に関する解説がされております。うち(PAKUTASO)でもそうですが、モデルリリースの写真(肖像権使用の許諾)など、あらゆる項目につきまとう権利問題ですし、ユーザー参加型のWebコンテンツを運営している人にとっては、同一性保持権による改変の禁止などは非常にデリケートな問題ですね。

トラブルの回避

免責事項については、うちのブログでも取り上げた事があるファーストサーバーを事例にしていました。(笑)
ファーストサーバーがデータ初期化の大惨事!被害者の状況と損害賠償(約款)について調べてみた。|楽しければいいのです。

いくら、規約に記載しようが自社のメリットが大きすぎる場合は、消費者契約法に抵触することとなり無効とされる可能性もあるとか、、免責の記載はバランスが大事ですね!

すぐに使えるひな形

これを作れないからコピペしちゃうのだろうねw

本書では第1条(適用)から第20条(準拠法)までを 実際の文 ⇔ 解説文 と分けて解説されております。Web上でもここまで丁寧に書かれたサイトはないかも、個人的にはこの章だけで買って損はしないと思います。特に利用者情報の取り扱いについては、会員サイトを運営している方は重要な所かな。

英文Verもついてるよ。

この書籍について社労士のフバタロウさんの感想

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プライバシーポリシーや特商法、著作権や免責事項などの基本的なものから、ポイントや仮想通貨を扱うのに理解することが必要な資金決済法についても触れています。

ECでは特に重要ですねウェブサービスやショッピングサイトを立ち上げる際には理解しておくことが必要です。あとは、クレーム対応や、サービス利用履歴の利用が許容される範囲、ウェブにおけるマーケティング規制などの実践的なことも書かれています。

本書ではその根拠について触れてないようですが、資金決済法において「法令で払い戻しが許容される場合を除いての払い戻しが原則として禁止されている」のはそれが賭博行為に繋がるおそれがあるからですね 。


色々と「なぜなに」を追求していけるのが、法律・技術の楽しいところかな


だそうです。さすがに法律に明るい方にとってはもう少しボリュームが欲しいところなのかしらね。

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良いウェブサービスを支える利用規約の作り方

というわけで、ぜひともWebサービスを運営している方は見直しという意味でポチってみてはいかがでしょうか。('A') おしまい、